ひと筆書き

日本太郎のくだらない人生を綴っていくだけのページ

2012-01

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足のニオイ

クサいニオイと分かっていても、嗅ぎたくなるときありませんか?

チラシ広告のキャッチフレーズのような出だしになってしまったが、これについては私は、「誰でもそういうときが絶対にあるはずだ」と声を大にして言える。何事にも個人差というものが存在するが、誰でも必ずひとつはそういうニオイフェチ的な要素を持っているはずである。軽いものでは芋焼酎のように、味に加えて「臭いが売り」の飲食物が存在することも今回の提唱を裏付ける要因の一つである。

ちなみに私の特技は「さっき足を洗ったばかりなのにもう足が臭いこと」である。これはおかしい。そんなことがあるはずはないのだが、初めてそれに
気付いたときは頭がおかしくなりそうであった。一応私の名誉のために記しておくが、私は水虫ではない。

実家に寄生していたときの話。時々足のニオイを嗅ぐと、あ、こりゃクサイわ、とは思っていた。それから友人達にも足クサ男的な扱いをされだし、私はそこに自分の生きる場所を見いだしたのだが、いくらクサイと言ってもさすがに洗った直後ばかりはクサくないだろうと思い風呂上がり数分後に足のニオイを嗅いでしまったのが今回の不幸話のはじまりである。

確かに長時間靴を履いているときが多いので、蒸れて足がクサくなるのならわかるが、なぜ風呂に入って数分後にもう足がクサくないといけないのかまったく意味不明である。なおかつ、足は非常に良い香りを醸しているのに、対する靴の方は全くクサくないのである。どうやら伝染性はないらしい。ただしスリッパだけはクサイということもここでは目をそらせない事実である。

そこで一つの疑惑が浮上した。私が普段履いている自分の靴は、単独所有であり単独使用であるが、家庭用スリッパはマンションで言えば共用部分に当たり、かつ専用使用権は認められていないため特定少数の人が一応履く権利を有している。以上のことから、専有部分である私の靴は臭くないのに共用部分であるスリッパがクサイということは、私は誰かにニオイをうつされてしまった可能性が否定できなくなる。そういえば風呂上りにスリッパを履いた気がしてきた。

これは共用部分における重大な過失による災害であるから管理組合に抗議すべきである、と私は思ったが、残念ながら我が家には管理組合が設置されていないため抗議しようがない。そのうえ、もしかしたら私自身がニオイを発生させる素質を生まれながらにして持っていた可能性も否定できないため、訴えても証拠不十分で棄却、各使用者に個別に抗議しようものなら、下手をすれば逆に名誉毀損で訴えられる恐れもある。悲しいかな、この事件の結末は永遠に迷宮入りしてしまった・・・。

しかしながら、いつも仕事が終わって足のニオイを確認することは、もはや日課となっている。よし、今日もいつもと変わらずクサイので、体調も異常なし、というわけのわからない健康管理の一環だ。この様な日常の中、足のニオイがなくなってしまったらどうだ。それどころかあまりに香しいラベンダーのような香りがしてきたらかえって気持ち悪くてしょうがない。足から発せられる香りはやはり足のニオイでなくては具合が悪いし、一日疲れた足のニオイを嗅げないなんて考えられない。

クサいニオイと分かっていても、嗅ぎたくなるニオイ、探してみるときっと一つはあるはずだと思う。

敬具

未確認生物

年をおうごとに崩れてゆく体型。こう見えても昔は、背はまあ普通にあり丁度よくほっそりとした、女性で言えばスレンダー体型であった。母から以前言われた言葉を私は今でも忘れない。

「あんたは本当に良かったよ。体型も良いし、何着ても着こなせるからね。それで顔が良かったら、あんた人生ダメにしてただろうからね」

クソばばぁが。と言いたくなるだろう。言ってもいいだろう。だってこの顔がマズイのは私のせいではないのだから。むしろ言うなら母(あと父ね)の責任の方が大きいはずなのだから。おかげで私はこの年までモテない君の称号をほしいままにし、そしておそらくはこれからもそのままだろう。そんな私でも一度は結婚できたのだから、奇跡としか言いようがない。そして奇跡はそうしょっちゅうは起きない。私の人生はもう終わったようなものだ。それでも腐らずに何とか今日まで生きてきている自分をそれなりに評価したいと思っている。私たちブサイクは、自分で自分を誉めないと、誰も誉めてくれないのだから。

今回の主旨はそういうことでなく、年齢とともに崩れてゆく自分自身をみて、やはり人間は常に努力が必要だということである。精神的にストイックなのはわりと好きな方だ。ただしマゾヒストではない。対して肉体的にストイックなのは大嫌いである。かと言ってサディストでもない。このご時世にあって、確かに経営状態は良いとは言えないにしても、仕事が途絶えるどころか増える一方の、私の勤めている会社の現状を鑑みると感謝しかない。そんな中でここ数年の激務で身体は以前にも増して痩せ衰えた。対して顔のほうは、酒を呑み続けているせいか消化機能が衰えてきているせいか、膨れ上がっていく一方である。

わりとバランスの取れた体型だった私の身体が着々と「実はすでにNASAで捕獲されており、国家機密のため絶対に公開されない」という噂が絶えない地球外からやってきたアノ人たちの想像画に近づいている。これではモテ男になれるわけがない。この年になってみれば、年数を重ねるごとにいろいろなことが分かってくるので、ある意味では母ちゃんの言うとおり「女で人生をダメにする」ことに縁のない男で良かったなと想う。しかし一度くらいはモテ期というのも味わってみたかった気がする。それに未確認生物と似たような体型でなく、せめて「人」として人生の最後を迎えたい。最後を迎えるときに、病床に集まった親戚達に「これ宇宙人じゃん」と言って爆笑されてしまうのもイヤだ。そのためには体型を維持するための努力も、少なからず必要ということである。

何かと「人のせい」にしたがる世の中。実際、人のせいにした者勝ちのようなご時世になっている。しかしこれが正しいのだろうか。すべての問題は「自分自身の中」にあるわけであって、決して人のせいではない。「まわりの人たちがこうやってるんだから」と言って人に流されてしまうのも自分のせい。人から良からぬことを頼まれて、それが悪いことや嫌なことであると分かっていても「断りきれなかった」弱い自分のせい。やりたくないことをほったらかして、後で後悔してしまうのも自分のせい。結局は選択権は100%自分にあるわけで、ある人が言った「人生とは自分が選択してきたことの積み重ねである」とはまさに正しいと私は想う。別に無理はしなくてもよいし、たまには選択を誤ってしまうこともあるだろう。しかしその都度人のせいにするのではなく、やはり結局は自分のせいだと想って、後悔したくないのなら自分自身がもっとしっかりしないといけないのだと言い聞かせて生きていきたいものだ。まずは宇宙人体型脱却のために、できることからはじめよう。

「ダイエットは、明日から」

敬具

説教をする者達

基本的に、酒を呑んでいないときは殆どしゃべらない。私の仕事は営業兼事務である。営業をやるくらいだから、しゃべらないと話にならない。できることなら、人としゃべることなく人生を送っていけるのであれば、これほど楽なことはないと結構本気で想っている。従って多くしゃべったなぁと想う日は、露骨に疲れている。これは別に「人」が嫌いなのではなく「しゃべる」のが嫌いなのであることだけ誤解のないよう付け加えておく。

しかし、これが酒が入り出すと途端にしゃべり好きになってしまうのだから、いつもながら「酒」の力は恐ろしいと想う。呑み会の席において、私の隣の席はかつて「アリーナ席」と呼ばれていた。普段とは打って変わり酒を飲み出すと語りグセがでてしまうので誰も私の隣に座ろうとしない。「その日日本太郎の隣に座った人は、独占してありがたい説教が受けられる」という超迷惑な特典付の席であることから命名されたらしい。

以前は、ある特定の仲間が集まった場に限られていたが、年をとると良くない。そういった場も仲間も増えてきて調子にのるとすぐ偉そうに語りだしてしまい、毎朝の日課は、前日の反省会となっているのが現状だ。そう言った場で、まず一番最初にするのは誰が私の隣に座るかを決めることである。大抵一番年下の子が追いやられてくる。そのやりとりが行われているときは私もまだシラフなので、若干彼らの行為に腹が立つのだが、酒がまわってしまうとそんなことはさっさと忘れて、必死に熱いお話を投げかけている。そして一度私の隣の席に座った人は、次の呑み会ではあからさまに激しい嫌がり様を全身で表現するようになる。そんなある日、呑みに行った先で、見も知らぬ女性から私は逆に説教を喰らってしまった。

ときどき顔を出す居酒屋に友人と行き、適度にデキあがった私は変態トークを繰り出しはじめ、まわりがあきれ笑いをしているのが気持ちよくてしょうがなくなってきた。世間ではこういう人のことを「KY」というのだろう。シラフの時はそれはよく解っている。そこに強敵が現れた。一人で店に入ってきた女性は、さも高飛車な空気を醸しながら私の二つ隣の席に着いた。要するに苦手なタイプである。

その時点で、何となくマズい雰囲気になりそうな空気を酔っぱらいながらに察知した私は、何とかトークを持続させようと必死に話を続けた。しかしほんの少しの精神の乱れが歯車を狂わせ、空回りに空回りを続ける悪循環を生み、徐々にペースを乱していった。無言の圧力に制圧され完全にヤバイ状況においやられてしまった私(被害妄想)が焦っていると、ついに恐ろしいお呼びがかかってしまった。何と彼女が私を自分の隣に来い、と呼びつけたのである。

見るからに語りグセのある女である。そもそもなんでコイツに呼び出されねばならないのか、ということで若干イラっときていた私。一個人の経験上の話で申し訳ないが「細いタバコを吸う女はプライドが高い」という傾向があることを、自身のしょうもない人生の中で発見した私の目の前で、細長いタバコをプカプカとふかしながら横目でこちらを睨んでくる様をみると不愉快でしょうがなくなり、私も負けじと普通サイズのタバコをプカプカとふかしながら相手の出方をうかがうことにした。

相手に質問を投げかけ、その相手が答えた内容に対して「それは違うよね〜」やら「考えが甘い」だのと言ってウダウダ語り出す人はたまにいる。これは数ある説教話法のなかでもかなりタチの悪い話法であり、高度な説教技術と豊富な不幸経験がなければできない、かなり高位に位置する説教法である。ちなみに私は、それはない。「大原則さえはずしていなければ、人それぞれ考え方があって良いだろう」と想っているので、相手に質問をするのは、純粋にその人の考え方を知りたいときだけである。ただ無作為に想いを語り続けるだけの三下説教家だ。すなわち説教家としての私は、今回のヒロインよりもランクが下である。

その女性は正にそれであった。大僧正だ。完全に予想していた展開であるが、予想できただけでその対策を講じる余裕がなく、いいようにペースにハメられ「はぁ・・・」「そうですね」の二言を繰り返すだけの私。結局は私の返答に対して大僧正があーでもないこーでもないと、延々とそれが続く。最後に大僧正は私に「ねぇ。幸せって。。。なんだと想う?」と問いかけてきた。カウンターについた肘にアゴを乗せ、タバコを手で弄びながら横目でこちらを見てくる。確かに冷静に見れば、見た目は悪くないどころか、綺麗系でそういう仕草もまあ様になる部類の人だから、色目使いも兼ねてそういうのもアリな人なのだろうと想った。

しかし如何せんこちらは現在、イライラの方がはるかに勝っているので、全然可愛くない。コイツは勘違い野郎だ。胸の中にものすごく嫌なモヤモヤが充満しだした。コイツはおそらくこの様なサディスト的振る舞いで、男からもてはやされてきたのだろうと言うのが手に取るようにわかる。第一幸せが何だって、そんなことは私の知ったことではない。個人が感じる幸せなど、まさに個人差なのだから、考えることの方が間違っている。自分自身が幸せだと思えることだけ探していれば、それで良いのではないのか。そして自分の価値観にとらわれず人様の幸せを素直に祝福できればベターである。説教法もさることながら内容までうっとうしい。私の出逢った数々の説教家のなかでも大僧正は楽にトップクラスである。

それにしても、やはり急遽訪れる状況に対応するのは非常に苦手であることを痛感しながら泣く泣くマズイ酒を飲むハメになったのは、まだまだ私も修業が足りないと素直に想う。と同時に「アリーナ席」の辛さというのも身をもって体感し、以後の呑み会においては、私が大僧正にならないように気をつけようと、ほんの少しだけ反省しながら実践しているところである。人生は常に修業なり。

敬具

WBC祝勝会

さて、話を明るい方向に戻して、どんなことであれ、我が祖国「日本」が世界一になることは、国民としてやはり嬉しいものだ。何もできない一市民の私たちに勇気を与えてくれる。高度経済成長期が終わり、経済不況、少子高齢化社会など明るい話題の少ない時代に突入して久しい昨今ではあるが、まだまだ諦めることなく明るい未来を後世に残すためにできる限りのことをしていきたいものだ。

第2回WBC・世界一。イチロー選手の延長決勝タイムリーを見た瞬間、涙が噴き出した。昼食時、いきつけの定食屋でメシを食べているとちょうど8回から9回当たりの攻防が放映されており、私を残して最後の客が店を出ると、大将と私は、食い入るようにタバコを吸いながらテレビを視ていた。まったくの無言で、目を合わせることもなく画面に集中。実際試合もまったく目の離せない状況だったことは、皆様の記憶にも新しいことと思う。

そこで一人のお客さんが入ってきた。大将も私も知っている人だ。大将は「いらっしゃい」も言わずにテレビを視ている。私は気付いたので一応一礼だけして再びテレビに釘付けになる。

そのお客さん、入店するなりただならぬ雰囲気を感じ取ったのか「今、定食作ってくれって言ったら怒られそうだね」と一言だけ言い残し、苦笑いをしながら店を出て行った。大将は後追いする仕草すら見せることなく画面に集中している。なかなかの商売人である。

さて、見事優勝を果たした日本代表。さっそく行きつけの居酒屋に予約を入れ、両親や近所の人たちに連絡を取り、いそいそとWBC祝勝会の準備を進めた。その夜、実は選手達とはまったく関係のないクソ田舎の居酒屋で、人知れず世界一を祝う会が執り行われていた。「世界一おめでとう〜!」の発声と同時に勝利の美酒に酔う私。なかには、なんで今日ここに呼ばれたかがよく分からない、と言う人も数名いた。まあ良いではないか。何かの理由がないと皆で集まるのも、この年になると難しいものだ。日本代表のおかげでまた皆がこうして再会することができたのだから、これも何かの縁である。

さて、4年後の大会では我らが日本代表はどの様な闘いをして我々一般市民を勇気づけてくれるのであろう。「世界を相手に闘う日本(人)の勇姿」が嬉しくてたまらない私。右寄りではないが、一応生まれ育った祖国のためにできることがあるのなら、やっていきたい気持ちである。有名な人たちが世界を相手に闘ってくれるなら、この国を豊かで明るい国にしていくためには、私たち無名の国民一人ひとりの地道な努力が何より大切なことであると、心に刻み、これからの人生を生きていくとしよう。

敬具

男の自宅用活動写真

我が実家にはテレビが一つしかなかった。そんな貧乏な家庭に育ったことを私は誇りに想っている。神様から与えられる「裕福さ」は全人間、平等だと想っている。カネがない分、心の裕福さが補ってくれると想っている。カネの裕福さも心の裕福さも時間の裕福さもない今の自分でも「ヒト」には苦労していない。裕福さは、形違えど与えられる量は皆平等である。そしてカネのない者のヒガみでもある。

居間にテレビが置いてある。自宅用活動写真(以下、活動写真)を見ることができるのはそこだけ。つまり他人に見つからない確率がほぼ100%に近い状態(つまり自分の部屋でということ)で活動写真を見ることが我が家では不可能に近い設定であった。

しかし、若かりし少年の飽くなき探究心は、そのような辺境の地でも果敢に開拓を試みることができる。今の年になっては、絶対にそのようなことは不可能だ。「丸くなる」というのは、こういった現象を繰り返しある一定のレベルまで臆病になったオッサンの在り方を言うのであろう。

というわけで、1階の居間で深夜、デッキに活動写真をセットする。物音を立てないよう、そして鼓動の高鳴りを悟られぬようにデッキの三角形のマークが一つついたボタンを恐る恐る押す。もちろん音声は耳を澄まさなければ聞こえないほどの超音波級に設定。鑑賞中は常に、2階で寝ている家族達を牽制するため、少しでも物音がするたびに小さな心を傷めながら階段の方を振り返っては画面に食い入っていた私。

慢心というのは人をダメにする。何年もの間、実際に誰かが降りてきたとしても、事前に2階の床振動をキャッチしチャンネルを民放に切り換え、何食わぬ顔で居間に寝っ転がっている夜更かし少年を演じることによって災害をかわしてきた。いつ親が降りてきても決まって「こんな夜中までテレビばかり視てないで、はやく寝ろ」と言う。それに「言われなくても分かってるよ」とふてくされて返答する私。毎回こんな感じであった。その自信が積み重なっていくことで、自らの防衛本能が低下していたことに私は気付かなかった。

ある日のこと、今までと同様、何やらの振動をキャッチ。「ん?」と想った。何かしらいつもと違うこの感じ。しかし今日もいつもと同様にかわせるだろうとおもむろに後ろを振り向いた次の瞬間、すでに徒歩1m以内の距離まで接近し、仁王立ちして私を見下げている人を発見してしまった。隊長だ。(前号参照)

やられた。不覚にも敵に背後を取られてしまった。心臓が一瞬止まったような感覚に襲われた私。まさか活動写真がクライマックスを迎えたために、周囲を洞察する集中力が一瞬低下してしまったのか。こともあろうに私の息子さんが、こんにちわしている状態で母と対面することとなってしまった。明らかにいつもと違う隊長の形相。そして金縛りに遭ってしまいピクリとも動けない私。空間を切り裂くように、母がいつもと同じセリフを、いつもよりも力強く私に浴びせた。

「そんなことばかりやってないで、はやく寝なさい!」その怒声に私はビクッとし、身体の硬直が解けた。

私はまだ幼かった。どうしてよいか分からなかった。何をどう分かっているのかすら、頭が真っ白になってしまって分からなかったが、条件反射だった。幼かったために、返す言葉がそれひとつしか思い当たらなかった。

「言われなくても。。。分かってるよ。。。」

敬具

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